自宅カフェ開業にかかった費用はいくら?実体験から内訳を公開

室内から、冬の森を眺める カフェ運営の裏側

自宅カフェを始めたいと思ったとき、多くの方が最初に気になるのは「全部でいくらかかるの?」という費用ではないでしょうか。私は2017年に北海道釧路市で「にっこりカフェ」を開き、その後、現在は北海道の森の中で「フードセラピー森のいえ」を営んでいます。

釧路時代のカフェは、もともと家にあったものを活用しながら始めたため、正確な開業費用は残っていません。そこでこの記事では、現在の「フードセラピー森のいえ」を始めるために実際にかかった費用をもとに、自宅カフェ開業費用の考え方と内訳をまとめます。

なお、開業に必要な設備の詳細は保健所の営業許可と設備リスト、資格については食品衛生責任者の取り方にまとめているので、この記事では「お金」に絞ってお話しします。

結論|自宅カフェは、小さく始めれば費用を抑えられる

一般的にカフェ開業は、まとまった資金が必要だと言われます。店舗物件を借りたり、大きな厨房設備を整えたりすると、費用はかなり大きくなります。けれど、自宅カフェの場合は、物件取得費や家賃を抑えやすく、小さな規模で始められるという大きな利点があります。

森の家を活用した自宅カフェの空間

私の場合も、自宅である森の家を活用し、できる部分は自分で整えながら進めました。そのため、店舗を借りて一から始める場合に比べると、費用を抑えながら開業することができました。

費用が大きく変わった、3つのポイント

私のケースで、費用を抑える鍵になったのは次の3点でした。

① 自宅を活用したこと

最大の違いは、自宅を活用したことです。店舗物件を借りないため、家賃が発生しません。毎月の固定費が少ないことは、開業後の安心感にもつながります。自宅カフェの場合、最初から大きな売上を目指すよりも、家賃や人件費などの固定費をできるだけ小さくしておくことが、とても大切だと感じています。

② 改装をできる範囲で自分たちで行ったこと

森のいえを始めるために、内装や水回り、電気関係など、必要な部分を整えました。壁や床、細かな仕上げなど、自分でできる部分は自分で行いました。もしすべてを業者に依頼していたら、さらに大きな費用がかかっていたと思います。ただし、水回りや電気など、安全に関わる部分は専門の方にお願いしました。費用を抑えることも大切ですが、無理にDIYしすぎないことも大切です。

③ 小さな規模で始めたこと

最初から大きく始めず、席数を絞り、メニュー数も増やしすぎず、一人で運営できる範囲を意識しました。自宅カフェは、大きく始めるよりも「無理なく続けられる形」を作ることが大切です。私の場合も、森のいえの活動は大きな店舗経営ではなく、料理教室や時々カフェ、体験の日など、暮らしの延長にある小さな活動として始めました。

開業費用の主な内訳

自宅カフェ開業で発生する主な費用項目を整理します。金額は規模や物件の状態、DIYの範囲で大きく変わりますが、私の場合の概算は次の通りです。

費用項目 金額の目安(私の場合)
改装費(内装・水回り・電気) 約250万円
厨房設備(シンク・冷蔵庫・調理器具・作業台) 約150万円
許可・手続き(保健所申請・水質検査・食品衛生責任者講習) 約8万円
開業時の運転資金(食材・光熱費など) 約20〜50万円
合計の目安 約430〜460万円(生活費を除く)

細かな備品や予備費も含めると、450万円前後は見ておいた方が安心だと思います。

改装費は、いちばん差が出る部分

改装費は、物件の状態によって大きく変わります。私の場合は、森の家を自宅カフェとして使えるようにするため、内装、水回り、電気関係などを整える必要がありました。自宅にすでに使える設備がある場合や、大きな改装が必要ない場合は、もっと費用を抑えられると思います。反対に、厨房やトイレ、客席スペースを一から作る場合は、費用が大きくなります。自宅カフェを考えるときは、「今あるものをどこまで使えるか」を確認することが大切です。

厨房設備も、工夫次第で変わる

厨房設備には、シンク、冷蔵庫、作業台、調理器具などがあります。私の場合は、営業許可を取るために必要な設備を整えたため、厨房設備全体で約150万円ほどかかりました。ただし、すでに持っている道具を使ったり、中古品を活用したりすれば、ここは大きく抑えられる部分でもあります。必要なものを最初から全部そろえようとすると費用がふくらみます。まずは保健所の基準を確認し、営業に必要なものから優先してそろえるのがおすすめです。

許可・手続きにかかった費用

自宅カフェを始めるには、保健所の営業許可や食品衛生責任者の資格が必要になります。森のいえの場合は、保健所への申請、水質検査、食品衛生責任者の講習などを合わせて、約8万円ほどかかりました。特に、森のいえでは地下水を使っているため、水質検査も必要でした。地域や水の使い方によって必要な検査は変わるので、開業前に必ず保健所に確認することが大切です。

見落としがちな「運転資金」と「生活費」

開業費用というと、改装費や設備費に目が行きがちです。けれど、実際に大切なのは、開業後の運転資金と生活費です。食材の仕入れ、光熱費、消耗品、そして自分自身の生活費。これらは、開業したあとも毎月かかります。開業してすぐに売上が安定するとは限りません。私の感覚では、生活費は最低でも3ヶ月分ほど確保しておくと安心です。お店を始める高揚感の中で、ここを軽く見ると、あとで資金繰りに苦しむことになりかねません。

お金より大切だった「続けられる設計」

森のいえで提供するヴィーガン料理

実際に開業して感じたのは、重要なのは総額だけではなく「続けられるかどうか」だということです。私は過去に釧路で自宅カフェを開いた経験があります。そのときも、カフェの売上だけで生活を成り立たせるのではなく、他の仕事も組み合わせながら運営していました。森のいえでも、料理教室、時々カフェ、体験の日など、ひとつの形にこだわりすぎず、自分の暮らしに合う形を探しながら続けています。カフェの売上だけで最初から生活を成り立たせようとすると、無理が出やすいです。収入の柱を複数持ちながら、少しずつ育てていくことが、長く続けるためには大切だと感じています。

赤字の月もある。それでも後悔しないために

自宅カフェは、楽しいことばかりではありません。思うように予約が入らない月もあります。設備費や光熱費が重く感じることもあります。赤字になる月が出ることもあります。それでも続けていくためには、開業前に「自分はなぜこれをやりたいのか」を言葉にしておくことが大切です。私にとって森のいえは、ただのカフェではありません。暮らしのそばで働き、自分の人生を自分で立て直していくための場所でもあります。その思いがあるからこそ、数字だけでは測れない価値を感じながら続けてこられたのだと思います。

これから自宅カフェを始めたい方へ

森のいえの外観と庭

費用面で大切なのは、次の3つです。使える家や場所を活用すること。小さく始めること。生活費を先に確保すること。この3つを意識すると、自宅カフェはぐっと現実的な選択肢になります。最初から完璧なお店を作ろうとしなくても大丈夫です。まずは、自分が無理なく続けられる形を考えることが大切です。

まとめ|自宅カフェは、工夫次第で始められる

「カフェ開業=高額」というイメージがありますが、自宅カフェなら、規模、改装方法、暮らし方次第で、費用は大きく変わります。私の場合、森のいえを始めるためにかかった費用は、生活費を除いて約430万〜460万円ほどでした。決して小さな金額ではありませんが、自宅を活用し、小さな規模で始めたことで、無理のない形に近づけることができました。大切なのは、無理をしない形で一歩を踏み出すこと。その積み重ねが、自分らしい働き方につながっていきます。

現在の活動についてはフードセラピー森のいえのご案内にまとめています。釧路での自宅カフェや民泊の経験については、また別の記事で書いていきたいと思います。

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