森でカフェを開くまでの現実的な準備|改築・水質検査・食品衛生責任者と費用のすべて

フードセラピー森のいえ、パンフレット カフェ運営の裏側

森の家でカフェを始めるまでには、思っていた以上に現実的な準備が必要でした。改築の図面、伐採の見積もり、地下水の水質検査、そして食品衛生責任者の資格取得。どれも、この場所で「営業」をするために避けて通れない手続きでした。

この記事では、自宅(しかも林野地の一軒家)でカフェを開くために、私が実際に何をして、いくらかかったのかを、体験をもとに具体的にお伝えします。自宅カフェや小さな飲食店の開業を考えている方にとって、リアルな準備の参考になればうれしいです。理想だけでも現実だけでも、暮らしは前に進みません。そのあいだを行き来した記録です。

すべては一枚の改築図面から始まった

森の家の改築リフォーム図面

森の家の改築は、まず一枚の図面から始まりました。頭の中にあったぼんやりした理想の暮らしが、線と数字の現実として目の前に現れた瞬間です。同時にそれは、書かれている内容すべてに「お金」と「時間」がかかるということでもありました。理想に近づくには、現実を一つずつ受け入れていくしかない。図面を見つめながら、森の家で生きていく覚悟のようなものに触れた気がします。

35年前に購入したこの林野地は、生活に必要な分しか整地しておらず、長年ほとんど手付かずでした。敷地は600坪ありますが、自宅部分以外は開墾しなければ使えません。庭にまで手をかける予算はなく、よく考えた末、必要最低限の改築を依頼しました。

自宅を営業用にするには「もう一つの台所」が必要だった

ここで、自宅カフェを考える方にぜひ知っておいてほしい点があります。自宅の台所を営業目的の厨房にすると、家族(自分)用の台所がもう一つ必要になるのです。営業用と生活用の調理場所は分けなければならないからです。我が家では、2階で押入れとして使っていた空間を、私専用の小さな台所に改築してもらいました。

1階の厨房は、傷んでいた床や壁紙を替え、天井はそのままで厨房設備を入れました。2階の自分用の台所は、壁紙だけは思いきり楽しいものにしたくて、サンプルから選んだのはピンク色のムーミン柄。今でもとても気に入っています。工務店の社長さんが親身に相談に乗ってくれ、細やかな仕事をしてくれました。

2階に作った自分用キッチンのムーミン柄の壁紙

地下水の水質検査|飲料に適していても、営業ではそのまま使えない

地下水の水質検査キット

森のいえは林野地にあるため、暮らしは地下水で成り立ってきました。保健所の許可を取るにあたり、地下水の水質検査を受けることになりました。保健所から事前に検査キットを受け取り、自分で水を持ち込んで依頼します。費用は約1万5千円でした。結果は「飲料に適している」、しかも非常に優良な水質という判定。長年この水で健康に暮らしてきたので、うれしい結果でした。

ところが、ここが重要な点です。飲料に適した優良な地下水でも、営業目的ではそのまま使えません。そのため、塩素注入機の設置が必要になりました。工務店にとっても初めての対応だったようで、設備担当の方が価格の安い機器を探して設置してくれました。工事中、職人さんに「こういう所で暮らしてるってことは、水道水じゃない方がいいからでしょ?」と聞かれ、「もちろんそうだけど、保健所的にはアウトなの」と答えると、「お客さんだって、その方がいいに決まってるよ。味が全然違うしね」と。長年この水で生きてきたことを思うと少し不本意でしたが、法律は安全を優先します。どこか複雑な気持ちを抱えながら、塩素注入機の設置は完了しました。

設置した塩素注入機

食品衛生責任者は、早めに取っておくのがおすすめ

食品衛生責任者の資格の修了証

飲食の営業許可には「食品衛生責任者」の資格が必要です。これがないと、厨房を作って保健所の検査を受けても、営業許可が下りません。私は釧路のカフェを開業する1年ほど前に取得していました。当時はまだ具体的な開業を決めていたわけではなく、「1日講習を受けて試験を受ければその日に取得できる」と知り、いつか欲しいと思って取っておいたのです。

費用は当時で約6千円。講習日や試験日は地域で異なるので、管轄の保健所に問い合わせると詳しく教えてくれます。注意したいのは、講習の開催頻度です。釧路市の場合、講習会は年に2回しか開かれていませんでした。開業を決めてからでは間に合わないこともあります。だからこそ、余裕を持って早めに取得しておくことを強くおすすめします。あの時先に取っておいたことが、後になって静かに背中を押してくれました。

自宅カフェ開業の準備と費用|まとめ

私が森の家でカフェを開く許可を取るまでに必要だったことを、費用とあわせて整理します。あくまで私の一例で、地域や住居の状況で変わりますが、開業を考える方の目安になればと思います。

準備項目 内容・費用(私の場合)
改築(厨房設備) 1階を営業用厨房に。床・壁紙の改修+設備導入。改築全体で約250万円
自分用の台所 2階の押入れを改築。営業用と生活用は分ける必要がある
水質検査 約15,000円。地下水利用のため必須
塩素注入機 飲料適の地下水でも、営業には設置が必要
食品衛生責任者 約6,000円。1日講習で取得。早めの取得を推奨

改築費用と保健所の確認について

自宅で小さなカフェを始めるにあたり、私の場合は、キッチンまわりや水まわりを中心に改築を行いました。改築費用は、工事内容や建物の状態によって大きく変わりますが、私の場合はおおよそ250万円ほどかかりました。

保健所の検査では、調理場の衛生状態、手洗い設備、食材や調理器具の保管場所、冷蔵・冷凍設備、水まわりなどを確認されました。森の家は地下水を使っているため、水質検査を行い、塩素注入機も設置しています。

実際に開業して感じたのは、「おしゃれな空間を作ること」よりも、まずは安全に食事を提供できる環境を整えることが大切だということです。自宅カフェを考えている方は、最初から自己判断で進めるのではなく、早めに地域の保健所へ相談しておくと安心です。保健所の基準や必要な設備は、地域や営業内容によって変わる場合があります。私の体験は一例ですが、自宅で小さく食の場を開きたい方の参考になれば嬉しいです。

図面、水質検査、塩素注入機、資格。どれも華やかではない準備ですが、この一つひとつを越えて、ようやく森の家でお客様をお迎えできるようになりました。これから自宅で小さな飲食の場を開きたい方は、まず管轄の保健所に相談してみてください。何が必要かは地域や物件で変わりますが、早めに動くほど、選択肢も心の余裕も増えます。

森の家のカフェの今のかたちはフードセラピー森のいえのご案内で、開業の背景にある暮らしは北海道移住で後悔しないための全知識でも綴っています。

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