私は以前、だるまストーブだけで日々の食事を作っていた時期があります。ご飯を炊き、汁物を作り、炒め物や焼き物もしていました。その経験があるからこそ、薪の量、火加減、鍋を置くタイミング、余熱の使い方など、火を暮らしに活かす感覚が、自然と身についているように感じています。
森の中に、火を囲める場所があったらいいな。薪ストーブとはまた違う、外の空気の中で使える火の場所があったらいいな。しんとした森でお湯を沸かしてお茶を飲んだり、調理したものを食べたりできたら楽しいだろうな。そんなふうに思いながら、少しずつ準備してきました。
この記事では、だるまストーブを屋外に設置するまでの準備と、実際にやってみて分かったことを、次の流れでお伝えします。設置場所の選び方、石板を敷く理由、ストーブの選び方と価格、試し焚きの実際(沸くまでの時間や薪の量)、そして火を使う際の注意点まで。屋外に「火の場所」をつくってみたい方の、参考になればうれしいです。
設置場所の選び方|まず草を刈って地面を確認する
だるまストーブを屋外に設置するとき、最初の大切なステップが設置場所の選定です。空いている場所にポンと置けばいいわけではありません。北海道の森は春から夏に草や笹が急速に伸び、少し油断すると足元が見えなくなります。まずは草を刈って、場所を確保するところから始めました。

実際に草を刈ってみると、地面の状態がよく分かります。設置場所を選ぶとき、私が確認したポイントは次の通りです。
- 傾斜がある場所は、ストーブが安定しない
- 木の根が出ている場所は、石板が水平に置けない
- 一見平らに見えても、実際は凹凸があることが多い
- 周囲に、乾いた草や落ち葉がないか
森の中で何かを置くのは、家の中で家具を置くのとはまったく違います。「空いているから」だけで決めず、安全に火が使えるかどうかを基準に、地面と相談しながら「ここなら危なくないかな」と考えて進めました。
なぜ石板を敷くのか|屋外で火を使うための土台
だるまストーブを置くために、石板を購入し、地面に敷いて土台を作りました。火を使うものなので、周りに燃えやすいものがある場所には置けません。乾いた草や枝、落ち葉、風の強い日、火の粉が飛ぶかもしれないこと——そういうことを考えると、石板を敷くだけでも安心感が違います。もちろんこれで完全に安全というわけではありませんが、まずは「置ける場所」を整えることができました。森の暮らしは自然が近いぶん、火の扱いには慎重でいたいと思っています。
設置してわかったこと|場所が「使える場所」に変わる

実際に設置してみて気づいたことがあります。ストーブを置いただけで、その場所が「目的のある場所」に変わるのです。草を刈って地面を整えた段階では、ただ開けた場所があるだけでした。そこにストーブを置いた瞬間、「ここでお湯を沸かせる」「ここで休憩できる」という具体的な使い方が、イメージできるようになりました。
場所を整えることと、道具を置くことはセットです。森に拠点をつくりたいなら、まず場所を整えてから道具を置く、という順序が大切だと感じました。一気にはできません。体力も時間もお金も限りがあります。それでも、ひとつずつ形になると、この場所で暮らしている実感が増えていきます。
だるまストーブの選び方と価格|購入前に確認したいこと
今回使ったのは、ステンレス製のだるまストーブです。屋外用というわけではなく、以前使っていたものを物置にしまってあったもの。ホームセンターではなく、ホンマ製作所から取り寄せたものです。購入時の価格は、約1万5千円でした。持ち運びできるキャンプ用なら、3〜4千円から購入できるものもあり、価格の幅は広めです。
屋外で使うなら、購入前に次の点を確認すると安心です。
- 持ち運びしやすい重さか
- 煙突の掃除を、自分でできる構造か
- 鍋ややかんを置ける、天板の広さがあるか
- 使わないときに、保管できるサイズか
- 雨や雪を避けて、保管できる場所があるか
特に北海道では、冬の積雪や春先の強風も考えておく必要があります。だるまストーブは便利ですが、置きっぱなしにできるものではないので、保管場所まで考えて選ぶことが大切だと感じています。
設置当日に試し焚き|芋と卵を茹でてみた
設置後、すぐに試し焚きをしました。最初に火を入れることで、ストーブの状態や燃え具合を確認できます。今回はジャガイモと卵を茹でてみました。なお、試し焚きは風の弱い日に行うことをおすすめします。

火のつけ方と火力調整。私は焚き付けに紙を使いません。すぐ火はつきますが、着火直後に外へ飛んで出てしまうことが多いからです。乾いた細めの枝を集めてストーブ内にセットしてから、火をつけます。マッチがなければチャッカマンを、キャンプで使う固形の「文化焚き付け」を少量使うのもいいでしょう。火力は、強くしたいときは細い薪を足すか空気の取り入れ口を開け、弱くしたいときは薪を減らすか空気の取り入れ口を絞ります。
実際にかかった時間と薪の量(この日の記録)。思っていたよりも早く、火がまわりました。目安は次の通りです。
- 使った薪:細い枝を10本ほど+少し太めの薪を3〜4本
- お湯が沸き始めるまで:火をつけてから、おおよそ15分
- 卵:火が安定してから、10分ほどで茹で上がり
- じゃがいも:大きさにもよるが、25〜30分ほどで竹串が通る
火力はガスのように一定ではありませんが、薪を足すタイミングや鍋を置く位置で調整できるところが、だるまストーブのおもしろさでもあります。実際にやってみて感じたのは、だるまストーブは「すぐに強火で調理する道具」というより、火を育てながら、ゆっくりお湯を沸かしたり、芋や卵を茹でたりするのに向いている、ということです。急がず火を見ながら過ごす時間そのものが、森の暮らしらしい調理時間になりました。
草を刈って、石板を敷いて、やっと置いたストーブで、芋と卵を茹でて食べる。それだけのことなのに、「ここで本当に暮らしているんだな」と思える時間でした。だるまストーブは、飾りではなく、ちゃんとこの森の暮らしの道具になりました。肉を焼かなくても、豪華な道具がなくても、森の中で火をおこして食べるごはんは楽しい。そんな素朴な楽しさを、これから「森の家体験の日」の中で少しずつ形にしていけたらと思っています。
薪ストーブとだるまストーブの違い|屋内と屋外の役割
同じ「火を使う道具」でも、薪ストーブとだるまストーブでは役割が異なります。
- 薪ストーブ(屋内):家の中の鋳物のストーブ。冬の暮らしそのもので、暖をとり、お湯を沸かし、料理もできる。ただし設置には煙突工事が必要。
- だるまストーブ(屋外):小型で扱いやすく、煙突の掃除も自分でできる。調理・湯沸かし・簡易暖房に使え、鋳物の薪ストーブより安価で導入しやすい。
屋外に火の場所をつくりたいなら、だるまストーブは導入のハードルが低く、現実的な選択肢です。外の空気の中で、草や木々に囲まれてゆっくり火を眺める時間。お湯を沸かし、ちょっとしたものを焼き、森仕事の合間に休憩する。そんな時間を持つ暮らしがしたくて、設置しました。家の中の薪ストーブの暮らしについては、北海道の薪ストーブ暮らしと暖房費にも詳しく書いています。
北海道の気候で使う際の注意点
北海道で屋外にだるまストーブを置くなら、気候に合わせて気をつけたいことが3つあります。
① 積雪期の保管
本格的に雪が降る前に、物置にしまう予定です。屋外で使うのはこの夏が初めてなので、どれくらい傷むかは未知数です。
② 強風・強雨の日は使わない
火の粉が飛んだり、火が不安定になったりするため、風や雨の強い日は火をつけません。
③ 気温が低い日の火のつけ方
これは室内・屋外どちらにも共通ですが、煙突が暖まらないと煙をうまく出せません。火は、いきなり大きくするのではなく、育てて大きくするもの。煙突から煙が出るまで、集中して火を育てます。
なお、炎が見えると虫や蛾が集まってきますが、だるまストーブは炎が常に見えるわけではないので、蚊取り線香や虫除けで快適に過ごせます。
安全に火を使うための、5つの基本
火を使う場所である以上、安全への配慮は欠かせません。私が必ず守っているのは、次の5つです。
- 周囲の草や枝は、定期的に刈っておく
- 風の強い日は、使用を控える
- その場を離れるときは、必ず火を完全に消す
- 使用中は、必ず近くにいる
- 水を、手元に用意しておく
当たり前のようですが、この5つを守るだけで、火のある時間はぐっと安心になります。
まとめ|森の暮らしに、火の場所をつくる
北海道の森にだるまストーブを設置してみて、屋外に火を使える場所をつくることは、思ったより取り組みやすいと感じました。手順をまとめると、次の4ステップです。
- 設置候補の草を刈り、地面の状態を確認する
- 傾斜や障害物がなく、周囲に燃えやすいものがない場所を選ぶ
- 石板などの不燃材を敷いて、土台を整える
- ストーブを設置し、試し焚きで動作を確認する
大きな工事や費用は不要です。順を追えば、森の中に自分だけの火の場所をつくれます。誰かに整えてもらった場所ではなく、自分で考え、自分で動いて、失敗しながら形にしていく場所。次は、玉切りした太い丸太をテーブル代わりに、ストーブの横まで転がして運んでみようかな、と思っています。きれいに整ったアウトドア用品ではないけれど、この森にあるものを使って、少しずつ居場所をつくる。そういう作業もまた、森の家らしい楽しみなのだと思います。
だるまストーブを使った「森の家 体験の日」について
だるまストーブを使った森の家体験日は、現在まだ準備中です。実際に安全に使える場所づくりや、火を扱うときの流れ、参加される方に安心して過ごしていただくための準備を、少しずつ進めています。今後は、森の中で火を起こしたり、だるまストーブでお湯を沸かしたり、簡単な調理をしたりする体験も取り入れていきたいと考えています。開催できるようになりましたら、ブログやSNSでお知らせします。
この火の場所が、森仕事の休憩や、お茶を飲む時間、誰かと火を囲む時間になっていったらいいなと思っています。こうした森での過ごし方は、森の家体験日のご案内で少しずつ形にしていく予定です。森の暮らし全体については北海道移住で後悔しないための全知識もあわせてどうぞ。

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