時間に追われない暮らしの作り方|北海道の森で送る、目覚まし時計のない一日

晩秋の日没直後。一番星が輝く時間 北海道の田舎暮らし

時間に追われない暮らしの作り方|北海道の森で送る、目覚まし時計のない一日

「もし目覚まし時計をやめたら、毎日はどんなふうに流れるのだろう」。そんなふうに思ったことはありませんか。北海道の森の中で暮らす私は、目覚まし時計を使っていません。アラームの音で起こされ、時間に追い立てられる感覚が好きではないからです。

この記事では、通勤のない冬の暮らしの中で実践している「時間に追われない一日の過ごし方」を、朝から夜までの流れに沿ってご紹介します。丁寧な暮らしや田舎暮らし、自分のペースを取り戻したいと感じている方の、ひとつの参考になればうれしいです。

目覚まし時計のない朝|自分のリズムで起きる

森の家の朝は、ゆっくり始まります。私は目覚まし時計を使わず、自然に目が覚めたときが起床時間です。たいてい明け方に一度目が覚めてトイレに立ち、外がまだ暗ければ「まだ早いね、もう少し寝ようか」と猫たちに声をかけて、もう一度ベッドに潜ります。そのまま二度寝する日もあれば、動画を眺めながら外が明るくなるのを待つ日もあります。

2026年の冬は仕事を辞めて通勤がなかったため、朝を急ぐ必要がありませんでした。明るくなってからゆっくり起き出すと、三毛猫の「はな」と保護猫の「うた」はとっくに起きて運動会の真っ最中。「はな〜、うた〜、母ちゃん起きた〜」と呼ぶと、二匹がやってきて挨拶を済ませ、先に階下へ降りていきます。目覚まし時計に管理されない朝は、一日の始まりの気分をまるごと変えてくれます。

顔を洗い、身支度を整える|小さな工夫で気持ちよく

顔を洗うお湯は、前の晩に使った湯たんぽのお湯です。朝にはまだほんのり温かく、それで顔をザブザブ洗うのが気持ちいい。寒い土地ならではの、お湯を無駄にしない小さな工夫です。そのまま着替えを済ませて洗濯機を回し、猫たちにご飯をあげて、自分はファイバーとプロテインを水で溶いて一杯。それを飲みながら、その日の気分で朝の音楽を選んだり、ニュースの動画をチェックしたりします。これが私の朝のルーティンです。

「時間で食べない」暮らし|空腹を待つ食事のリズム

ご飯と味噌汁中心の、森の家のある日の朝ごはん

通勤のない暮らしになって大きく変わったのが、食事の取り方です。時間が来たから食べるのではなく、空腹を感じてから食べる。朝食はだいたい7時半から8時頃、メニューは決めず、パンの日もご飯の日もあります。ある朝は、前夜の夕飯を抜いていたので、ご飯と味噌汁、納豆、ポーチドエッグにしました。

この味噌汁は、じゃがいも・人参・玉ねぎを昆布といりこの出汁(袋入り)で煮て、じゃがいもが柔らかくなったら味噌を溶くだけ。沸騰して5分ほどでいい香りになります。ポーチドエッグも、沸いたお湯に卵を落として蓋をするだけ。ネギを刻む数秒を入れても、所要時間は5分から10分ほどで完成します。自分一人のための、手間のかからない朝食です。

昼食も同じで、空腹が来たら食べるので、昼を逃して夕方少し早めに食べることもあります。一日三食きっちり、という生活はほとんどなくなりました。誰かのために時間どおりに食事を作る必要もなく、「何時までに食べ終えて次の作業」という縛りもない。一人暮らしの、とても自由な部分です。時間に追われないというだけで、暮らしの空気はこんなにも変わるのかと、この冬あらためて感じています。

朝ごはんのあとは、コーヒーかお茶を淹れます。そして、そのときに初めて、元夫の遺影にもコーヒーかお茶をお供えします。これが、私の一日の中の小さな習慣のひとつです。それから二階に上がってベッドを整え、洗濯物を干したついでに畳んでしまう。一人分なので、どれも数分で済みます。猫たちのトイレと自分のトイレ、玄関、部屋の中を簡単に掃除したら、ようやくゆっくり腰を下ろす。この冬は、その時間にこのブログを書いていました。

森を眺める時間|「ただ眺める」が心を整える

室内の窓から見える森の木々

日差しのある晴れた日は、室内の窓からでも森の様子がよく見えます。そんな日は、一日に何度か、木々が揺れる様子をぼーっと眺めます。私にとって、とても貴重な時間です。思い返すと、育った家の部屋の窓も、若い頃に住んだアパートの窓も、東京で暮らしていた頃の窓も、いつも外には一本の木が見えていました。

だから今、森の木々を眺めていると、過ぎていった日々をぼんやり思い出すことがあります。それは瞑想に近い感覚なのかもしれません。ただ木を眺めているだけなのに、心が静かに落ち着いていくのです。特別な道具も準備もいらない、「ただ眺める」だけの時間は、忙しい毎日の中でも取り入れやすい心の整え方だと思います。

夕方から夜へ|森が静まり、空を見上げる

森の家の窓から見える夜の月

春に向かっていても、北海道はまだ寒い。夕方16時頃にはもう夜の気配が訪れ、夜はマイナスになる日も多いものです。森はしんと静まり返り、その時間になると、なぜか猫たちだけが家の中を元気に走り回る毎晩のルーティンが始まります。

先日、玄関横の窓から外の星を眺めていると、南の空にひときわ明るい星を見つけました。「土星かな、木星かな」と眺めていたら、二階から降りてきた猫たちがこちらを見上げています。抱っこの苦手な「はな」を抱き上げて窓の外を見せるとすぐ逃げ、続いて「うた」を抱き上げました。そのとき、明るかった星がふっと消えたように見えました。「星じゃなかったのかな、UFOかな。」正体は分かりませんが、夜空はいつでも空想を広げてくれます。小さなことで落ち込んだ気持ちを忘れさせてくれる、自然のプラネタリウムです。星空はどこにいても誰にでも平等に与えられているもの。それを受け取れる自分でいることが、今の私の小さな目標です。

時間に追われない暮らしを支える、3つの工夫

ここまでの一日を振り返ると、「時間に追われない暮らし」は特別な環境がなくても、考え方の工夫で近づけるものだと感じます。私が実践していることを3つにまとめます。

1. 起床を「時刻」でなく「体」に委ねる
目覚まし時計をやめ、自然に目覚めた時間を起床時間にする。難しければ、休日だけ試すところから始められます。

2. 食事を「時刻」でなく「空腹」で取る
三食きっちりにこだわらず、お腹が空いてから食べる。一人暮らしや在宅の時間に取り入れやすい工夫です。

3. 「何もしない時間」を予定に入れる
森や木、空を眺めるだけの時間を、罪悪感なく持つ。これが一日のリズムに余白を作ってくれます。

この暮らしに向く人・始めるときの注意

正直に言えば、この暮らし方は誰にでもそのまま合うわけではありません。通勤や子育て、決まった時間の仕事がある方が、いきなり目覚ましをやめるのは現実的ではないでしょう。まずは休日だけ、あるいは在宅の日だけ、時間に縛られない過ごし方を取り入れてみるのがおすすめです。一方で、自分のリズムを取り戻したい方、定年後や在宅中心の暮らしを送る方には、ヒントになる部分が多いはずです。大切なのは、生活全部を変えることではなく、「時間に追われない時間」を一日の中に少しだけ作ること。それだけでも、暮らしの空気は変わります。

時間に追われない暮らしを始めてから、いちばん変わったのは、心の中の焦りが少しずつ減ってきたことです。以前は、何かをしなければ、早く進まなければと、いつも気持ちが急いでいたように思います。森の中で暮らすようになってからは、天気や季節の変化を自然に感じるようになりました。雪がとける音、鳥の声、風の強さ、草木の伸び方など、毎日の小さな変化に気づけるようになったことは、私にとって大きな変化です。体も心も、無理に急がせるのではなく、その日の状態に合わせて動けばいいと思えるようになりました。忙しい日もありますが、自分の暮らしを自分の手で整えている感覚が、安心につながっています。

森の家の一日は、こんなふうに時計ではなく、自分と自然のリズムで流れていきます。今日もまた、森の家の夜が静かに始まります。森の暮らしや猫たちのことは、猫たちの記事でも紹介しています。

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